慣性モーメント(Moment of Inertia)

慣性モーメント(Moment of Inertia)とは

慣性モーメント(Moment of Inertia)とは、加減速トルクの角加速度に対する比例定数である。・・・????。 大学の理工系へ行かれた方ならば、おなじみの言葉だと思いますが・・・。

文系へ行かれた方々には、あまりなじみはないでしょうね。簡単に説明を試みてみますと、以下のようになるのですが・・・・。

重さの無視できる棒の両端に、質量m,Mの物体が、それぞれの端にくっついたものを考えます。棒の適当な位置に回転の中心となる点を定め、そこから両端までの腕の長さをそれぞれa,Aとします。このとき、中心に対する慣性モーメント「Iは、

I=m a^2 + M A^2

と、計算されます。この定義から明らかなように、慣性モーメントは、中心(中心軸)のとり方によってその値が変わります。中心として系の重心をとったとき、慣性モーメントは最小となり、すなわちもっとも回しやすくなるという訳です。

 

ゴルフ用語で使う場合

ゴルフクラブのカタログを見ると、「慣性モーメント」という言葉をよく目にしますよね。「慣性モーメント(Moment of Inertia)」 (頭文字をとってMOIと表記されることもあります。)は物理の用語で、「ある軸の周りに回転運動をする物体の、回転に対する慣性の大きさを表す量」ということになります。

ゴルフクラブの場合、この回転運動の軸はヘッドの重心点であることが多いのですが・・・・。重心を軸として、フェースがトウ~ヒール方向にどれだけ動きにくいか(慣性モーメントが大きいほど、回転運動しにくい)。つまり、スイングでボールが芯を外れたときに、どれだけフェースの向きがぶれにくく(フェイスが回転しにくく)、ミスが少なくなるかということを、メーカーは皆さんに訴えかけているというわけなのです。

ぶっちゃけ、「ミート率が多少悪くてもボールがまっすぐ飛んでいいてくれますよ~」と云いたいわけなんですね。もっと平たく言えば、「ちょっとは下手くそでも大丈夫だ~ 、道具でカバーしてあげますよ」ということですね。

ちなみに、「キャビティバック」アイアンというのは、バックフェースの真ん中をえぐって、その重量を周辺部分に分配することで、慣性モーメントを高めるためのデザインになっている訳です。ドライバーはなるべく軽い素材でヘッドを作り、余った重量をヘッドの内部に配置することで同様の効果を得るようになっているのですね。例の「四角い」ヘッドのドライバーも、慣性モーメントをアップさせるのが目的という訳なんです。

また、ゴルフクラブの慣性モーメントには、フェースの回転しやすさを表すものの他に、ネック軸を中心にフェースの返りやすさを表すものと、グリップエンドを中心にクラブ全体の振りやすさを表すものの2つがあります。この3つの数値があらかじめわかっていれば、クラブの試し打ちをしなくてもおおよそのクラブ性能が推理できるという訳です。