ゴルフ用語辞典 軟鉄(soft iron)

軟鉄(soft iron)

辞書で調べてみますと、「軟鉄(soft iron)」というのは、不純物である炭素の含有率が少なく、比較的純鉄に近い鉄で、軟らかく、展延性があり、電磁気材料などに使用されるもの、ということになります。ゴルファーにとっては、軟鉄鍛造アイアンの材料、といったほうが、判りやすいでしょうかね。

軟鉄にも種類があって、アイアンのヘッド素材として主に使われるのは、炭素含有率が一般に言う「軟鉄」に比べわずかに多い、軟鋼(mild steel)と呼ばれる、軟らかい炭素鋼だそうです。

軟鉄は、繰り返し曲げても折れないので、製品になってから、ライ角やロフト角を個人の体格や癖・筋力を考慮して調整できるという利点を持っています。反面、鉄なので錆びやすく、クロムメッキなどの防錆処理が不可欠となるのですが、それによってせっかくの素材の軟らかさを生かしきれないという側面もあるようです。

ちなみに、軟鉄アイアンは、「打感がいい(軟らかい)」ということで、ほとんどのアイアン素材がステンレスに変わった現代でも、手放せずに愛用するゴルファーは多いようです。日本人ゴルファーの軟鉄鍛造へのこだわりは、格別なものがあるようですね。「軟鉄」といういかにも軟らかそうな語感と、刀鍛冶を思わせる「鍛造」という響きが、ゴルファーの心を刺激しているとのうわさがありますが、果たしてその真偽のほどはいかがなものでしょうかね。

ただし、このフィーリングの違い(軟鉄とステンレス)は、実際はとても微妙なもので、仮に目隠ししてテストした場合は、トッププロでもほとんど区別がつかないともいわれています。それでも、人間は先入観をプラスに転化することができるので、「打感がいい」と思い込むことで気持ちよくスウィングでき、それがいい結果につながるということは十分にあり得ることですよね。

ゴルフクラブの中でも、上達志向のゴルファーにとって、軟鉄鍛造アイアンは特別な存在となっているようですね。上級者向けのクラブとして変わることのない信頼を勝ち得ており、プロの世界でも、大多数のゴルファーが軟鉄鍛造アイアンを使用しているようです。