ノーメッキ(gunmetal finish, black nickel finish, black satin finish, etc.)

ウェッジを含むアイアンクラブのヘッドは、ステンレスまたは軟鉄製、つまり鉄でできているため、工場で成型したままの状態だと、当然錆びてしまうことになります。市販のウェッジが錆びないのは、防錆のためのメッキが施されているからなのですが、90年代の後半から、プロツアーで通常のメッキ処理を施していない、いわゆる「ノーメッキ(gunmetal finish, black nickel finish, black satin finish, etc.)」のウェッジを使うプロが徐々に増え始めました。

理由は、メッキ素材の硬質感によってアプローチのタッチが出しづらい、あるいは、太陽光を反射してまぶしい(ために距離感が合わない)等とさまざまな理由が上げられていますが、一番はデビュー間もないタイガー・ウッズが、ノーメッキウェッジを使用していたことによる影響が結構大きいの出がないでしょうかね。

プロ人気が高まるにつれ、メーカーは錆びるのを覚悟で、一般アマチュア向けにもノーメッキウェッジを市販するようになったのです。ところが、当初は、防錆のための加工をまったく施さない本当の意味での「ノーメッキ」だったため、あまりにも錆びやすく、錆びるのがわかっていたはずのユーザーからもクレームが相次いだそうです。そこで、現在では表面を薬品処理するなどして、ある程度錆びにくくしてあるのが普通となっています。

ちなみに、メッキの厚さというのはおよそ0.01ミリほどしかなく、メッキの有無を人間が知覚することはできないといわれているそうです。それでも、打感の「やわらかさ」に明らかに影響があるのは、メッキの「金属色」が「固い」というイメージを脳に与えるからといった説があります。真偽のほどは定かではありませんが、人はイメージによる影響を受けやすいようですね。ともあれ、メッキの有無ではスピン量に大きな違いを生じることはなさそうです。