ピンプレースメント(pin placement)

ゴルフ場のコースにおけるグリーンのカップの位置、つまり「ピンプレースメント(pin placement)」は、一般的には毎日変わります。それでは何故同じ場所に固定しないのでしょうか?。

その一番の理由は、グリーンの保護のためなのです。カップ周辺というのは、プレーヤーの踏圧が集中して、芝が傷みやすくなります。カップ位置をまんべんなくローテーションさせて、グリーンの芝への踏圧を分散させれば、1カ所だけ芝が傷むのを防げるというわけですね。

次にカップの位置を変化させることで、コースの戦略性を変化させ訪れたプレーヤーに飽きさせないためというゴルフ場のコース管理上の理由もあると云う訳です。

グリーンの面積にもよりますが、ひとつのグリーンに対して、設計時に想定しているピンプレースメント(エリア)は最低でも4ヶ所、多いところは~7ヶ所程設定されていることが普通のようです。まあ、7カ所あれば曜日ごとにローテーションできて好都合なのですが、芝の生育状況によって実際にカップを切れる場所は制限されるので、そうそう都合よくはいかないみたいですけどね。

また、他のホールとの兼ね合いで(ハーフで手前、真ん中、奥のカップ位置がそれぞれ3つずつになるようにピンプレースメントを設定することが多い)、ホールによっては2、3カ所のエリアでローテーションせざるを得ない場合もあるとのことです。

ちなみに、雨の日には(ピンプレースメントのローテーションとは関係なく)グリーンのいちばん高くなっているところにカップを切ることが多いようです。グリーンのアンジュレーションは、排水装置としての機能が設計の中に含まれているので、その排水ルートの上流(つまり高い場所)のほうが乾きやすくなっているからです。その意味では、排水ルートが複数あって、梅雨時期など雨が続いても、カップを切れる場所が何カ所か確保できるグリーンが、設計的に良いグリーンといえるわけですね。

プレーヤーにとっては、このグリーンのカップの位置やコンディションがスコアの良し悪しに直結することになります。そのため、競技会などには難しい箇所に設定し、雨の日には水はけを考慮して傾斜のある高所にカップを切るなどの配慮を怠らないことがグリーンキーパーの大切な仕事になると云う訳ですね。

さらに、グリーンキーパーはカップまわりのダメージを回復させるべく、「天候」「入場組数」「曜日」などを予想・加味しながら毎日カップを切り直してホールロケーション・コンディションのバランスをベストに保つために努力していることになります。