フェザリーボール(feathery ball)

ゴルフは15世紀中ごろには、すでにイギリスで広く楽しまれていたことが、当時の記録からわかっています。そのころ使われていたボールが、「フェザリーボール(feathery ball)」と呼ばれていたボールでした。

原始的なゴルフでは、羊飼い達が石ころを、ボールとして使っていました。その後、木製ボールが主流となります。さらにその後、牛皮にガチョウの羽を詰め込んだ「フェザリーボール」が使われます。この「フェザリーボール」、現在のボールとほぼ同じ大きさで、1個の値段がクラブ1個の値段と変わらなかったそうで、とても高いボールだったようです。

 

なぜそのように高かったのか?、フェザリーボールは、皮の袋にガチョウの羽毛を詰めて作られたものなのですが、当然のことながら、ひとつひとつが職人の手作りで、製造にはかなりの技術を要し、結果として当然ながら値段も高くなったようです。ちなみに羽から出る細かい埃のために胸を患う職人が多かったとも言われています。

作り方としては、古代ローマ時代の基本的なテクニックを活用して作られました。水で湿らせた羽毛を帽子一杯分(当時の帽子は非常に大きいものでした)用意し、それを湿らせた皮革の袋に詰め、封をして乾かします。乾燥した羽毛は膨張し、逆に皮革は縮むため、非常に硬いボールとなりフェザリーボールの出来上がりというわけです。

しかし、苦労して作った割には耐久性に欠け、数度使用すると皮の継ぎ目が破れて、中の羽毛が飛び出すという代物だったみたいです。それでも、当時は貴重だったことから、破れれば何度でも修理して使っていたといいます。

それでも、このボールはそれ以前の木製のボールとは比べ物にならない非常に弾力性のある、優れた飛び道具となったわけですね。

ちなみに、“feathery”は「羽毛のように軽い」という意味です。ただ、反発性能は低かった(現在のボールに比べればですよ)ので、飛距離的には「羽根が生えたように軽々遠くへ」というわけにはいかなかったみたいです。しかしながらリンクスのコースにはよくマッチしていたのか、1836年にサミュエル・マシューという人物がセント・アンドリュース・オールド・コースにて361ヤードという飛距離を記録しています!。