ミーリング(milling)

ウッドのフェース面にはわずかに丸みがあるのに対して、アイアンのフェース面は限りなく平滑に作られていますよね。これは、ヘッドを仕上げる過程で「ミーリング(milling)」(※ミリングと発音すべきだと私は思いますが・・・・・)という作業を行い、フェース面を平らに加工しているからなのです。

本来ミーリング(ミリング)は「フライス盤による切削加工を施すこと」という意味なのですが、ゴルフ用語としてはゴルフクラブヘッド (特にアイアン)にこの加工技術により切削をクラブフェイス表面に残す加工の意味で使われているようですね。誤解のないように申しておきますが、アイアンのクラブフェイスの溝(スコアーライン)とは別ですよ。

この加工を施すことで、クラブフェイス表面の強度を上げたり、美観向上、スピン性能の向上等の効果があるとされています。元来アイアンのクラブフェイス表面には美観・耐食性を得るためにメッキ加工されていたのですが、金属の性能や加工技術の向上により、メッキ加工をしないでミーリング(ミリング)加工した物が増えています。

ウェッジなど、モデルによっては「ミルドフェース(milled face)」、「スピンミルド(spin-milled)」など、「ミルド(milled)」、つまり、(精密に)ミーリング加工してあることを商品名の一部とし、それ自体を売り文句にしている場合も多いようですが・・・・・。

フェース面の平滑というのは、ボールとの摩擦力をアップし、スピン性能を向上させる上で欠かせない要素なのです。自動車レースで使用されるスリックタイヤ(溝のないタイヤ)が、地面との接触面積を最大にして、最も強いグリップ力を発揮するのと同様で、フェース面も平滑なほどボールとの接触が強くなりスピンがかかるとされています。フェイス面に施されている溝(スコアーライン)の主目的としては、インパクトの瞬間に挟まる芝や水分による「スリップ」を最小限に抑える為なんですね。

ちなみに、ミーリング(ミリング)はフライス盤(milling machine)という工作機械を使って行うのですが、薬品による腐食を利用して、金属部品を極めて薄く加工する「ケミカルミーリング(chemical milling)」という技術もあるそうです。これは、ゴルフクラブの場合、ウッドのクラウン部分を薄肉加工して軽量化するのに使われているとのことでした。