ゴルフ用語辞典 オーバーシディング(Overseeding) 2

前回からの続きです。

どのような事から、オーバーシーディングを実施するようになったのでしょうか?その起源は?

 

元々は日本中央競馬会(JRA)が、亜寒帯に位置する日本の冬には温帯気候型の芝が枯死してしまう可能性があり芝コースを設置出来なかった札幌競馬場へ、芝コース設置を可能とする為に1980年代後半に開発した技術だそうです。(1988年までの札幌競馬場はJRAで唯一のダートコースのみの競馬場だったそうですよ)。

1980年代中期まで温暖気候型の「野芝」や「高麗芝」と呼ばれる芝生が主として使用されていたのですが、冬季は休眠してしまうため茶褐色の黄色みがかった景観になってしまいます。そこで1年を通して常に緑色の芝生を保てるようにするため、ヨーロッパで主として使用されている寒冷気候型の「ペレニアル・ライグラス」「イタリアン・ライグラス」「トールフェスク」「ケンタッキー・ブルーグラス」等といった芝生の種子を撒布して、季節ごとに応じてメインとなる芝生の種類・バランスを調整して生育を行い、常に綺麗な芝生の状態を保つようにした訳ですね。

一般的には気候の温暖な夏場は野芝と高麗芝、逆に寒冷気候である冬場は西洋芝を使用し、気温や日照時間、芝生の状態を見ながら適宜撒布や除去などの管理を実施し、芝生の維持管理を行います。

このオーバーシード技術を用いれば、1年中緑色の芝生を保つことが可能になることから注目を集め、JRAの全国の競馬場にも導入されたのはもちろんですが、競馬界だけに留まらず、他スポーツ競技を始めとして各方面からも注目を集め、全国のサッカースタジアムや陸上競技場、野球場、ゴルフ場等にも導入されてきたと云う訳です。

ただし、前回も記載しましたが、実際にこのような維持管理を行うには結構な資金が必要ですので、完璧に行っているところは少ないようですね。