スルーボア(through-bore)

 

ゴルフクラブは、ヘッドとシャフト、それにグリップという3つのパーツから構成されていますが、構造としては単純なものです。それだけに、劇的な性能変化のためには、時として、伝統的な形状にとらわれない発想力が必要になるのですが、「スルーボア(through-bore)」構造も、そうした革新的なアイディアのひとつと言えるでしょう。

スルーボアとは、シャフトの先端部分がヘッドを貫通する形で取り付けられている構造のことです。シャフト取り付け部分であるネックが不要となるので、その分、(特にアイアンで)ヘッドを低重心にできるというのが最大のメリットになります。これにより、伝統的な形状のクラブとは明らかに異なる性能を付与することが可能となるわけです。

ただし、スルーボアはネックがないためライ角の調節ができません。シャフト先端のしなりが少なくなって(取り付け部分が長くなるため)、シャフト交換作業が通常より難しくなるなどのデメリットもあって、万能という訳にな行かないようです。

ちなみに、スルーボアを最初に採用したクラブは、キャロウェイ社が1988年に発売した「S2H2」アイアンとなります。その後、「S2H2」の技術を応用して作られたメタルウッド、「ビッグバーサ」(1991年発売)が全世界で大ヒットし、「スルーボア」という言葉も一般的になりました。